インターネットショッピングの利用者増加に伴い、宅配便が大幅に増加しています。
国土交通省によると、平成27年度のトラックによる宅配便取扱個数は37億0,447万個。
5年前と比べると、5億個以上も増えています。
そこで問題となっているのが、宅配便の再配達問題です。
ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の調査によると、全体の約2割(約7億4089万個)が”再配達”され、
- 運送会社の負担増加
- 交通渋滞
- トラックの走行距離増加による二酸化炭素(CO²)の排出増加
などの原因となっています。
運送業界は慢性的な人手不足に陥っており問題は深刻。
このままでは事業が成り立たないことから、基本料金の値上げや再配達料金の徴収も検討されています。
そんな中、ニュースや様々なメディアで取り上げられ、注目されているのが”宅配ボックス”です。
この記事では、宅配便の再配達問題を解消するかもしれない”宅配ボックス”の仕組みについて解説します。
目次
宅配ボックスとは
宅配ボックスとは、宅配便が来たとき、留守中でも荷物を受け取れる”ロッカー型の設備”です。
分譲マンションや比較的新しい賃貸マンションを中心に導入されています。
一戸建てに関しても、まだまだ数は少ないですが、徐々に設置事例が増えつつあります。
宅配ボックスの仕組み
宅配ボックスは、主に「機械式(ダイヤル式)」と「電気制御式」の2種類に分けられ、仕組みも違ってきます。
機械式(ダイヤル式)
旧型のタイプ。
機械式とは、配達員が宅配ボックスに荷物を入れてから、暗証番号を設定するタイプです。
配達員は、「○番の宅配ボックスに荷物を入れました。暗証番号は○○○○です。」という内容の不在通知票を郵便ポストに入れます。
受取人は、その宅配ボックスに暗証番号を入力して、荷物を受け取る仕組みです。
電気制御式
近年主流のタイプ。
電気制御式とは、配達員が宅配ボックスの液晶パネルの支持に従って、荷物を入れるタイプです。
配達員は、「○番の宅配ボックスに荷物を入れました。」という内容の不在通知票を郵便ポストに入れます。(最近は、メール通知してくれるサービスもあります。)
受取人は、その宅配ボックスに”カードキー(あらかじめ配布されている)”を使って、荷物を受け取る仕組みです。
宅配ボックスのメリット
宅配ボックスは、運送会社の負担を減らしたり、環境にとっていいだけでなく、受取人側にもさまざまなメリットがあります。
例えば、
- 宅配便の到着時間を気にしなくていい
- わずらわしい再配達依頼の電話をしなくていい
- 防犯性の向上(宅配業者を装った強盗・暴行事件に遭う危険性がなくなる)
などです。
貴重な休みの日、「宅配便到着のために自宅で待たなければならない」というプレッシャーがなくなるのは、大きなメリットと言えるのではないでしょうか?
宅配ボックスから荷物を発送できるサービス
ヤマト運輸の「宅配ロッカー発送サービス」を利用すれば、宅配ボックスから荷物を発送できます。
重たい荷物を取扱店などに持ち込んだり、集荷が来る時間まで待つ必要がありません。
宅配ボックスに荷物を入れておけば、そのまま配達員が引き取りに来てくれ、人と接することなく荷物を発送できます。
その他、宅配クリーニング会社の中には、宅配ボックスから衣類を集荷してくれるところもあります。
機械式はトラブルが多い?
そんな便利な宅配ボックスですが、旧型の機械式はトラブルが多いようです。
例えば、
- 配達員が暗証番号を書き間違える
- 不在通知票(暗証番号記載)を誤って、別の人の郵便ポストに入れてしまう
- 郵便ポストから不在通知票(暗証番号記載)が取り出され、荷物が盗まれてしまう
などです。
トラブルが相次いでいることから、運送会社によっては、宅配ボックス(機械式)の利用を敬遠し、再配達扱いになるケースもあるようです。
最後に
最近の賃貸マンションで当たり前にありつつある”宅配ボックス”
運送会社は再配達の手間が減り、住民は好きな時間に荷物を受け取れる。
双方にメリットがある仕組みです。
国土交通省も「再配達を減らす対策」として”宅配ボックスの普及”を掲げており、駅やコンビニに設置する「オープン型宅配ボックス」に関しては、補助金新設も検討されています。
一度、使ってみたら、手離したくないという方も多い宅配ボックス。
これから、引っ越しを考えている方は、「宅配ボックスが設備に含まれているかどうか」も確認しながら、部屋探しをしてみはいかがでしょうか?