「固定資産税が高くて地代からの収益がほとんどないのに底地の管理に手間がかかる。底地を相続したものの相続税の支払いにお金が足りない。そこで底地を売却してまとまったお金を手に入れたいけど、底地を買い取ってもらったときにはどういった税金がかかるんだろう。税額の計算方法についても知りたい。」
そんな疑問に答えます。
本文の内容
- 底地を買取で売却したときにかかる税金と税額計算
- 相続した底地を買取業者に売却するときの相続計算には要注意
- 不動産取得税を納めるのは底地を買い取った側
弊社は創業して11年目の不動産会社です。地域密着型として今まで多くのお客様から不動産に関する相談を受けてきました。底地については特に相続税の計算方法や売却したときにかかる税金に関することが多いです。
そこでこの記事では底地を買い取ってもらった時にかかる税金と税額の計算方法について解説します。
目次
1.底地を買取で売却したときにかかる税金と税額計算
底地を買取で売却したときにかかる税金は印紙税と譲渡税の2つです。次でそれぞれの税額についてお伝えします。
1-1.印紙税
底地を売却するときには底地売買契約書(借地権負担付土地売買契約)を作成します。
そして、底地のような不動産の売買契約書は第1号文書というものにあたり、課税文書です。
契約書は一般的に買主と売主で2部作成してそれぞれが保有するため、買主・売主どちらも印紙を貼る義務があります。
また、底地売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものについては、軽減措置の対象です。このとき、納めるべき税額は次の表のようになります。
記載された契約金額 | 軽減後の税額 |
---|---|
10万円超50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
※底地の一般的な価格帯に合わせて、表では10万円超1億円以下の範囲の税額を掲載しています。
この軽減措置は、2020年3月31日までに作成された契約書について適用されます。
そして、期間を過ぎたあとに作成された底地売買契約書にかかる印紙税は次のように本則税額となります。
記載された契約金額 | 軽減後の税額 |
---|---|
10万円超50万円以下 | 400円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
また、定められた印紙税額を超えた収入印紙を契約書に貼ってしまった場合は、所轄税務署長に契約書の原本を提示して、過誤納の事実の確認を受けることで印紙税の還付を受けられるので安心してください。
1-2.譲渡税
もし底地を買取で売却して利益が出ると、譲渡税を納める必要があります。
譲渡税は所得税と住民税です。
譲渡税額は、【譲渡所得金額×税率】で計算します。
まず譲渡所得金額は、買取価格がそのまま当てはまるわけではありません。
買取価格から取得費と買取にかかった費用、特別控除を差し引いた金額のことです。
ただ底地は先祖代々受け継いだものであること多く、取得費がわからないこともあります。
そのようなときには、取得費を売却金額の5%として計算します。
たとえば、底地を500万円で買取が成立したときには、取得費は25万円とすることができるというわけです。
また底地を売却した理由が特定土地区画整理事業や特定住宅地造成事業のためであれば、一定額が買取価格から控除されます。
特別控除が適用される条件は細かく決められているので、対象かどうかを含めて不動産業者や税務署の担当者に直接確認することがおすすめです。
そして税率は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得として下表のようになります。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
※2037年までは復興特別所得税もかかります。所得税の2.1%です。
これらのことから、もし所有期間10年の底地を500万円で売却し、取得費がわからないときの譲渡税額は約96.5万円です。計算方法は下記をご確認ください。
譲渡所得金額 = 500万円 – 25万円 = 475万円
譲渡税 = 475万円×15%(所得税) + 71.25万円×2.1%(復興特別所得税) + 475万円 × 5%(住民税) = 約96.5万円
譲渡税額の計算はそのまま納税額に直結する重要なところです。計算方法だけ見れば簡単そうではありますが、不動産会社や税理士のような専門家へ相談することをおすすめします。
弊社でも買取時の税金に関する相談にも対応しておりますのでお気軽にお問い合わせくださいませ。
2.相続した底地を買取業者に売却するときの相続税計算には要注意
相続税を納めるためにまとまったお金を用意する必要が出てきて、底地を売却するときには注意が必要です。
相続した不動産を相続開始から10ヶ月以内に売却した場合、通常の路線価方式で計算された相続税評価額ではなく、売却が成立したときの価格を相続税の対象となる評価額にすることができます。
たとえば、相続した不動産の相続税評価額が5,000万円だったとしても、売却価格が3,500万円であれば、3,500万円が時価として相続税の課税対象額となるわけです。
そして売却が成立するよりも前に相続税を納めていたときには、更正の請求を行うことによって納めすぎた相続税の還付を受けられます。
ですが、買取業者に売却すると、ほとんどの場合で買取価格が時価として認められません。
なぜなら、時価というのは、「不特定多数の間で自由な取引が行われる場合に成立する価格」が原則です。
底地を買取業者に売却する場合、その買取価格は、買取業者にとっては仕入れ価格です。
買い取った底地を借地権者や第三者に売却することで利益を得るために、市場価格よりも低い価格で買取ります。
そのため、買取価格は時価として認められないということになります。
国税不服審判所でも、平成24年11月21日に買取価格を相続税の時価として認めないという裁決を下していました。
(参考:東日本銀行コンサルNEWS「業者の底地買取価格が相続税で時価と認められなかった事例」)
不動産会社に仲介を依頼して底地の売却をしてもらったときには、その売却価格を時価として計算できますが、買取によって売却したときには、そのまま借地権価額控除方式で評価されたものが相続税評価額となるので注意してください。
3.底地を相続で取得したときに不動産取得税はかからない
不動産取得税は、不動産を取得した方に対して課税される税金です。取得後30日以内に申告して納税する決まりとなっています。
そのため、底地を相続によって取得した場合にも、不動産取得税がかかるのではないか、と思われる方もいらっしゃいます。
ですが、不動産取得税は、売買や新築、贈与によって取得した場合にかかる税金で、相続が理由で取得したときには課税されませんので安心してください。
4.まとめ
底地を買取で売却したときには、印紙税と譲渡税がかかります。
不動産売買の契約書にかかる印紙税の軽減措置は2020年3月31日まで延長されているので、間違えて印紙税を払いすぎないように気をつけてください。
また譲渡税も底地の所有期間によって税率が異なり、状況によっては適用できる特別控除もあるかもしれません。
ここまでお伝えしてきたように、底地を売却したときの税金計算は専門性が高く、間違えると必要以上に税金を納めてしまうなど損してしまいます。
弊社では底地の買取だけでなく、税金対策も含めて無料で相談を受けております。どうぞお気軽にお問い合わせください。