「不動産を仲介で売却できなかったときには不動産会社が買取をしてくれるサービスがあるって聞いたけど、実際にどんな内容なのかわからない。詳しく知りたいな。」
そんな疑問にお答えします。
本文の内容
- 不動産買取保証サービスについて
- 買取保証金額の相場は査定の80%~90%
- 買取保証サービスを利用するメリット
- 買取保証サービスを利用するデメリット
- すべての物件が買取保証を受けられるわけではない
弊社は不動産業を始めて11年になります。その間、不動産の売却を仲介だけではなく買取も行ってきました。また弊社自身、買取保証サービスも提供していますので、その経験に基づいて、不動産買取保証サービスについてわかりやすく解説します。
1.不動産買取保証サービスについて
昭和58年7月、東急リバブルが売却保証制度を先駆けて導入して以降、業界に広がっていったサービスです。
不動産を売却するとき、仲介による売却か不動産会社の買取による売却かのどちらかしかありませんでした。最初に選択でどちらにするかで不動産の売却方法が決まっていました。
ですが、仲介による不動産売却の場合、買主が見つからなければどれだけ魅力的な不動産であっても売却できません。タイミングによってはずっと売れ残るということもありえました。
その一方で、不動産を売却するときの主な理由が相続したものの管理ができず、相続税も莫大で現金化しなければいけなかったり、買い替え・住替えがすでに決まっていたりといったものです。このような理由での売却が多いので、ある期日までには売却が完了し、現金化しておく必要があります。
仲介ではいつ売れるかわからないから、新しい不動産の購入や引越しの予定が立てられません。だからといって、買取で安く買い叩かれてしまうようなことになってしまっては悲しい。というジレンマに陥ります。
そこで出てきたのが、不動産買取保証サービス、となります。
買取保証サービスでは、最初は仲介による売却活動をしますが、期日までに売却できなかった場合は、その不動産を事前に決めた価格で不動産会社が買取ることを保証します。基本的に、不動産買取保証をつけて売却活動を行う場合、後のトラブルを避けるために、買取価格の保証書をもらいます。
この保証サービスを利用することで、まずは希望の価格で売却活動をすることができますし、万が一売れなかったとしても、期日までには確実に売ることができる(買い取ってもらえる)ので安心して次の資金計画を立てられます。
不動産の売却を考えているときは非常に嬉しいサービスではあるのですが、当てにすることは危険です。次の章からは実際に買取保証サービスを利用するメリット・デメリットも合わせてお伝えしていきます。
2.買取保証金額の相場は査定の80%~90%
まず買取保証サービスで、保証を使ったときの売却価格は査定の80%~90%になることが一般的です。
たとえば、不動産を売却するときに、査定結果が3,000万円だったと言われたとしても、買取保証の利用時には、2,400万円~2,700万円での買取額となります。
誤解しないでいただきたいのですが、これは不動産会社が不当に利益を取ろうとしているわけではありません。買取保証を提供する場合でも、最初は普通に不動産を売却するための活動を行います。
そこには人件費はもちろん、広告宣伝費などの様々な経費がかかってきます。そして不動産会社は、不動産を買取したあとも、そこから利益を出すために必要に応じてリフォームやリノベーションなどを行い、再度、販売活動をしなければなりません。そうして売却が成約して始めて、不動産会社に利益が生まれます。
そのため事業を継続し、お客様に長く利益を提供し続けるためにも、買取保証による買取額は、査定の80%~90%が相場となっています。これは弊社にご依頼いただいた場合でも同じです。
もし査定の100%での買取保証をしているような会社と出会ったときには、そもそもの査定額を低くしている可能性があるのでご注意ください。
3.買取保証サービスを利用するメリット
それでは買取保証サービスのメリットをお伝えします。
メリット①:期日までに確実に売却できる
一番の魅力は、期日までに確実に売却ができるという点です。
最悪の場合でも、ある決めた日までには売却できるので、その日をもとに資金計画を立てることができます。
せっかく買いたい物件が見つかったのに、今売却活動中の不動産がいつ売れるかわからないから購入に踏み切れないという機会損失をなくせます。また期日だけでなく、買取金額も事前に決まっているので、売れたとして何円で売れるのだろうという不安もありません。
メリット②:安心して買い替え・住み替えができる
買取保証サービスを利用することで、最低でもいつまでに、何円のお金が現金で入金されるのかがわかります。
もし仲介による売却で買取保証がなかった場合、気に入った新居を見つけたとしても住宅ローンが二重になる可能性や、最悪、資金が用意できずに契約をキャンセルしなければならない可能性もあります。
買取保証があれば、その期日を1つの目安として資金計画を立てることができるので、現金を準備できないということはなくなり、安心して買い替え・住み替えを進められます。
メリット③:売却前に新居に入居できる可能性がある
住宅ローンには「つなぎ融資」と呼ばれるものがあります。
これは必ずしも利用できるというわけではないですが、買い取り保証の金額を金融機関に伝えることでつなぎ融資を受けられる可能性があります。
もちろん融資ですから、利息は発生しますし、事務手数料や契約書の印紙代などもかかります。それでも「今すぐ購入して入居したい」物件があったり、事情があったりする場合には選択肢の一つとして知っておくといいでしょう。
一度、金融機関に相談してみるのもおすすめです。
メリット④:希望の売出し価格で売却にチャレンジできる
あくまでも買取保証サービスは、仲介による売却で売れなかったときのためのものです。そして、売却活動のときには査定価格で始めなければならない決まりもありません。今まで所有してきた不動産ですから、査定額よりももっと高値で購入する人がいるのではないか、と感じるかもしれません。
そのときには、希望の売り出し価格からスタートすることができます。不動産会社の査定額を参考にしながら、それよりも高い価格での売却にチャレンジできます。期日までに段階的に査定価格に近づけていくことで、納得した売却活動となるでしょう。
買取保証によって確実に期日までに売却できることが決まっているからこそできるものです。
4.買取保証サービスを利用するデメリット
買取保証にはメリットだけではなくデメリットもあります。
デメリット①:売却価格が相場よりも安くなってしまう
買取保証の相場でもお伝えしたように、買取保証による買取額は査定の80%~90%です。
最初から買取を選んでいた場合に比べると、低い買取額になってしまいます。
不動産売却のときには、買取保証を利用して仲介による売却を進めるのか、最初から買取として売却を進めるのかよく考えることが大切です。どちらがいいかわからない、どちらにしようか迷っているということであれば、気軽に不動産会社に相談してください。
弊社では買取保証サービスも提供しておりますので、しっかりと売主様の現状などをお聞きし、適切な売却方法をご提案できます。
デメリット②:売却活動を本気でやってもらえない可能性がある
残念なことですが、買取保証サービスが付いている場合、不動産会社によっては売却活動を本気で取り組まないところがあります。これは、最終的には不動産会社が買取することで決まっているため、買取ありきで売却活動を進められるからです。
中には売却活動中に購入希望があったのに、そのことを売主に伝えずに保証期間が終わるまで放置していたというトラブルも起きています。
相談した不動産会社の担当者が信頼できそうか、しっかりと見極めようとすることも大切ですし、売却活動がちゃんと行われているかチラシやホームページなどの広告宣伝物をチェックしながら、こまめに担当者へ連絡するようにしましょう。
5.すべての物件が買取保証を受けられるわけではない
ここまでお伝えしてきた不動産の買取保証サービスですが、これはどのような物件でも受けられるわけではありません。買取保証を受けられる条件は物件によっても、不動産会社によっても異なります。
買取保証サービスの先駆けである東急リバブルの例
所在地 | 東京、神奈川、埼玉、千葉および札幌、仙台、名古屋、福岡、関西圏で、日常的に営業・販売活動可能なエリア |
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対象者 | 個人・法人(宅建業除く) |
対象不動産 | 個人の居住用の土地・一戸建て・マンション |
購入期日 | 媒介家役に基づく販売期間(3ヶ月以上6ヶ月以内)終了後 |
媒介条件 | 専属専任・専任媒介契約を締結 |
不動産基準 | 土地…敷地面積40平方メートル以上 一戸建て…敷地面積40平方メートル以上、築30年以内(但し築年数に応じた制限あり) マンション…築30年以内、専有面積30平方メートル以上 共通…法令及び条例に適合していること、一般的な住宅ローンの通常利用が可能であること |
売却保証額 | 1億円以下かつ、査定価格90%を上限 |
※参考:http://www.livable.co.jp/baikyaku/hosyo/
大手の三井のリハウスの例
対象物件 | 首都圏・関西圏・中部圏の当社営業エリア内の土地・戸建・マンション(専用住宅) |
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物件基準 【土地・戸建】 | ・敷地面積40㎡以上 【マンション】 ・専有面積40㎡以上 ・1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認取得物件 ※一般的な住宅ローンの通常利用が可能であること |
対象者 | 専属専任媒介(期間3ヶ月間)を締結した個人の方(宅建業者除く) |
保証金額 | 1億円以内かつ査定価格の90%以内 |
保証期間 | 3ヶ月間 |
適用条件 | 規定の審査後の保証開始。 予め、ご提示した販売計画に基づき、売却活動を実施していきます。 媒介契約締結日から1ヶ月目、2ヶ月目に媒介価格(売出価格)を変更させていただきます。 他にも諸条件がございますので、詳しくは、担当者にお問い合わせください。 |
※参考:https://www.rehouse.co.jp/support/bikykhs/index.html
このようになっています。
買取保証を利用したい場合はまず、不動産会社に保証を適用できるかどうか確認することが大切です。
6.まとめ
不動産の買取保証の概要とメリット・デメリットについてお伝えしました。
買取保証は仲介での不動産売却と同じように希望売出し価格でチャレンジしながら、万が一の場合でも買取額が期日までに入金されることが保証されている魅力的なものです。
しかし不動産の買取保証のデメリットでもお伝えしましたが、会社によっては残念な売却活動しか行わないところもあります。不動産売却をどのような手段で行うかによらず、信頼できる不動産会社を見つけることが、不動産売却ではなによりも重要です。
今回は以上となります。
弊社でも不動産買取の無料相談を受けて請けておりますので、気になる方はお気軽にお問合わせください。買取保証といって手法だけではなく、幅広い選択肢をご提案可能です。
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