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転勤が理由の不動産売買契約の解約は自己都合【解約以外の対応法も解説】

不動産売買不動産マメ知識

最終更新日:2021.05.07

転勤が理由の不動産売買契約の解約は自己都合【解約以外の対応法も解説】

「不動産の売買契約を結んだところなのに転勤が決まってしまった。もう解約するしかないのだろうか。そのときでも自己都合による契約解除になるのだろうか。白紙解除はできないのだろうか。」

そんな疑問に答えます。

 本文の内容

  • 転職が理由の不動産売買の解約は「自己都合」となる
  • 転勤の可能性が高いときは特約に盛り込むことも考える
  • 住宅ローン利用の特約で白紙解除
  • 「賃貸物件にする」という選択肢も1つ

弊社は創業して11年目の不動産会社です。地域密着型として多くの取引経験を積んできました。たくさんのお客様とお付き合いさせていただきましたが、売買契約を結んだ直後に転勤が決まったという方もいらっしゃいました。記事ではこのようなお客様に知っておいてほしい売買契約の一般的な解説から、解約以外の対応についてもわかりやすく解説します。

1.転勤が理由の不動産売買契約の解約は「自己都合」となる


転勤は本人の意志ではどうしようのないものです。
しかし、残念ながら転勤を理由として不動産の売買契約を解約するとこは自己都合による解約とみなされます。そのため、手付金の放棄によって解約をすることになります。

もともと手付金は契約締結時に支払うお金で、代金を支払う前に、契約が成立した証と売主に預けます。そして一般的な不動産売買契約で支払う手付金は「解約手付」の意味合いを持ちます。

これはたとえば、「契約を見直してみたら失敗だった。」と、契約成立後に気づいたというような理由でもトラブルなく契約を解除するための権利を持っておくためのルールです。買主は手付金を放棄することによって、売主の許可なく契約を解除できます。

手付金は売買価格の10%が相場なので、4,000万円の自宅であれば400万円を放棄することで契約解除が可能です。

ただし売主が「契約の履行」に着手している場合は手付金の放棄による解約は認められず、契約時に規定した違約金を支払う必要が出てきます。「契約の履行」とはたとえば、買主の希望による設備などの変更工事の発注をしていたり、引き渡し前に所有権移転登記を完了していたりした場合のことをいいます。

違約金は売買価格の20%が相場になっています。そのため、万が一、売買契約成立後に転勤が決まってしまったら、できるだけすぐに不動産会社へ連絡してください。

丁寧に事情を説明して売主の理解を得られれば、譲歩してくれて白紙解除にさせてもらえたり、手付金の一部放棄で解約させてもらえたりといった対応をしてもらえることもあります。

特に人気物件であれば、買い手がすぐに見つかるので売主も譲歩してくれる可能性が高いです。ただしあくまで「かもしれない。」という程度です。原則、手付金の放棄になると考えておいてください。

2.転勤の可能性が高いときは特約に盛り込むことも考える


手付金を相場の金額で支払っていれば、200万~500万くらいになっています。
それを放棄すれば契約解除できるとはいっても、年収に近い支出となるのは非常に大きな負担です。

そこで、売買契約を結ぶ時からすでに、決済日までに転勤が決まる可能性があるのなら、売主と交渉することも可能です。「転勤になったら売買契約は白紙解除できるものとする」という内容の特約を盛り込めば、手付金を放棄する必要がなくなります。

ただし特約を盛り込んだ場合、他に購入希望者がいると不利になってしまうでしょう。また特約についても、決済日前日まで適用させたいという要望は売主にとって何もメリットがありません。

特約を盛り込む場合でも、一定の期間で区切ることになります。そうなると、設定した期限を過ぎたタイミングで転勤が命じられた場合、交渉によって売主に譲歩してもらえるという可能性はなくなると思ったほうがいいです。

3.住宅ローン利用の特約で白紙解除


転勤が決まった時期が、金融機関から住宅ローンの融資の承認が降りる前であれば契約を白紙解除できます。

不動産の売買契約では、特にマイホームを購入するときには住宅ローンを借りて支払うことが一般的です。代金も住宅ローンありきで支払い計画をたてて契約しますが、住宅ローンの審査がおりなければ、購入資金を用意できないことになります。

それでは買主が非常に困る状況になるため、「住宅ローン特約」があります。これは、住宅ローンの審査がおりず、融資を受けられなかったときは違約金の負担なく、手付金も返還されて、無条件で売買契約を解除できるというものです。

住宅ローンは原則として借り入れをした本人が、その家に住むことを条件に低金利で融資するものです。転勤によって住まないことが確定すれば、融資の承認は得られません。

ただし、住宅ローン特約を利用して、悪意のある買主が売買契約を解除できないように、転勤後の居住地の住民票を金融機関に提出しなければならないということも多いです。

またローン特約が契約に盛り込まれていたとしても、除外事項として、「自己都合および転勤による移動では適用外」と記載されていると、白紙解除できず、手付金の放棄による解約となるので注意が必要です。

4.「賃貸物件にする」という選択肢も1つ


転勤が決まったとき、それでも、「せっかく気に入って納得して契約したマイホームを手放したくない」「手付金が没収されるのはもったいない。」と感じる方も多いです。

もし転勤が一時的なもので、5年以内に戻ってくることが確実なら、賃貸物件として貸し出すという方法もあります。

転勤が理由でマイホームに住めない場合であれば例外として、収益物件用のローンに切り替える必要がなく、住宅ローンの低い金利のままで融資を受けられるので、家賃収入を得られるようになれば逆に転勤後の家計を助けてくれる資産となるでしょう。

賃貸物件として貸し出すときの流れや注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
» 急な転勤で『購入した不動産を賃貸に出す』ときに知っておきたいこと

5.まとめ


売買契約後の転勤命令はあまり考えたくないことではありますが、起きてしまったときは粛々と対応していくしかありません。解約するときにはできるだけ早く不動産会社へ連絡を入れることが大切です。

契約してすぐのタイミングであれば、売主も譲歩してくれる可能性があります。ただしあくまでも相手次第なので、過度な期待は禁物です。

また解約しなくても、需要のある物件であれば、転勤の間だけ賃貸に出すという方法もあります。弊社でもマイホームを賃貸として貸し出す相談を受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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