「底地を買取で売却しようと思っているけど、売買契約書はどんな内容なんだろう。通常の土地の売却契約とは違うのだろうか。」
そんな疑問にお答えします。
本文の内容
- 通常の土地と底地での売買契約の違い
- 底落ちの売買契約書に含める条項
- 底地の売買契約書のひな形
- 底地の売却に必要な書類
弊社は創業して11年目の不動産会社です。地域密着型として、これまで多くのお客様から相談を受けてきました。相談の中には、通常の土地と底地では売買契約はどのように違うのかということもよく聞かれます。
そこでこの記事では、通常の土地と底地での売買契約の違い、底地の売却で必要となる書類についても解説しました。
目次
1.通常の土地と底地での売買契約の違い
まず、通常の土地と底地とで売買契約には大きな差はありません。
違いは、土地の「貸主」としての地位を引き継ぐかどうか、ということです。
そもそも底地の上には借地人が建物を建てて住んでいます。
そのため、売主と同じように、借地人に対する貸主という立場で土地を所有することになります。
買主が底地を購入したからといって、借地人を追い出して、土地を自由に使えるわけではないのです。
底地は自由に活用できないという制限があることから、底地の売買契約を、「負担」という言葉を使って、「借地権の負担がある土地売買契約」と呼ぶこともあります。
また、底地の購入者は、底地の貸主となるので、地代の支払先の変更を借地人に通知するなど、通常の土地の売買契約に比べてやるべきことも増えます。
このように、土地の所有者になるのか、貸主となるかが、通常の土地と底地との売買契約の違いです。
2.底地の売買契約書に含める条項
底地の売買契約は、一般的な土地の売買契約とは異なっているので、売買契約書に含めるべき条項も異なります。
具体的には、次のような内容を含める必要があります。
2-1.借地権負担の明記
底地の売買契約書に欠かせない条項は、借地権負担付きであることを示す内容です。
契約書の頭に、「借地権負担付き土地売買契約書」と記載し、売買対象となる土地を指す時にも、「借地権負担のついた土地」と表記することが多いです。
また売買契約書に借地人や借地権の内容について記載する義務はありませんが、底地の買主にとっては知りたい情報なので、合わせて明記します。
借地権を設定したときの土地賃貸借契約書もあれば、そのコピーを取り、別紙として底地の売買契約書に添付するようにしましょう。
2-2.土地賃借権の承継に関する条項
買主が底地を買取るということは、同時に土地の貸主になるということです。
そのため、売買契約書には土地賃貸借が設定されていることを確認し、貸主としての地位を売主から引き継ぐことも明記します。
合わせて、いつの時点から地位を承継するのか、ということも明記します。基本的には所有権移転登記申請の日です。
2-3.地代、公租公課に関する条項
底地は借地人に土地を貸しているわけなので、地代の受け取りが発生しています。
この地代も、いつまでが売主のもので、いつからが買主のものになるのかを明記しておくことが必要です。
土地賃貸人としての地位を引き継ぐと同じタイミングで、「所有権移転登記申請の日」とします。
通常の土地の売買契約でも、固定資産税や都市計画税などの公租公課に関する条項を記載しますが、その条項に地代に関することも合わせて記載することが多いです。
2-4.賃借人への通知に関する条項
底地を売却するのに、借地人の許可は必要ありません。
地主は好きなタイミングで、自由に売却することができます。
ですが、借地人は地主に地代を支払わなければならないので、賃貸人が変わったことを知っておく必要があります。
もし借地人が、地主が変わったことを過失なく知らなくて、地代を売主である旧地主に支払ったときには、有効な支払いがあったものとみなされます。
そのため、底地を売却したあとで、借地人が売主に地代を支払って、有効な支払いとみなされると買主が損してしまいます。
それは、底地売却後のトラブルにもつながります。
そのような状況にならないように、一般的な底地の売買契約書では、賃貸人への通知を売主の義務として契約書に明記します。
3.底地の売買契約書のひな形
実際に底地を売却するときに交わす売買契約書は下記のようなものです。
—–
借地権負担付土地売買契約書
売主〇〇(以下甲という)と買主○○(以下乙という)は、以下の通り、借地権負担付土地の売買契約(以下本契約という)を締結する。
第1条(目的)
甲は乙に対し、借地権の負担のついた別紙物件目録記載の土地(以下本件土地という)を次条に定める売買代金により乙に売り渡し、甲はこれを買い受ける。
第2条(売買代金及び支払い方法)
売買代金は次の通り支払う。
1.本件土地の売買代金は金○○○○円也とし、乙は以下の通り甲に支払うものとする。
(1) 本契約締結時に手付金として金○○○○円也
(2)平成○○年○○月○○日までに残金○○○○円也
第3条(売買対象面積)
本件土地の面積は公簿面積によるものとし、後日実測の結果公簿面積と実測面積とが相違することがあっても甲乙は何ら異議を申し立てないものとする。
第4条(登記手続き)
甲は乙から売買代金の支払いを受けると同時に、乙又は乙の指定する者に本件土地を引き渡し且つ所有権移転登記に必要な書類を交付する。
所有権移転登記に要する登録免許税その他の費用は乙が負担する。
第5条(土地賃貸借契約の承継)
甲乙は本件土地につき末尾記載の借地権(以下「本件借地権」という)が指定されていることを確認し、乙は賃貸人たる地位を、第4条の所有権移転登記の日をもって甲から承継する。
第6条(賃借人への通知)
甲は賃借人○○○○に対し、第4条の所有権移転登記の日に前条の借地権の承継があったことを通知しなければならない。
第7条(公租公課・地代の精算)
本件土地に対する公租公課および地代は、第4条記載の所有権移転登記の日を基準とし、同日までの分は甲が負担し、その翌日以後の分は乙が負担して引渡し時に精算する。
以上の通り契約が成立したことを証するため、本書2通を作成し、各自署名押印のうえ、各自1通を保有する。
平成○○年○○月○○日
(甲) 住所
氏名
(乙) 住所
氏名
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契約書は法律文書独特の堅苦しい表現で読みにくいことは事実ですが、非常に重要な内容が書かれているのでしっかりと確認するようにしましょう。
もし契約書を読み合わせしているときに少しでも内容を理解できないところがあれば、遠慮なく、わかるまで、買取業者の担当者に聞くことが大切です。
「なんとなく」で流してしまうと後から思い寄らないトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
4.底地の売却に必要な書類
底地の売却に必要な書類は、売主が底地の所有者であることを証明する売主本人に関する書類と、売却する底地の情報がわかる書類の大きく2つです。
売主本人に関する書類は、
- 免許証やパスポートなどの本人確認書類
- 実印
- 発行から3ヶ月以内の印鑑証明書
です。
また底地の登記上の住所と売主の現住所が異なるときには、住民票も必要になります。これも印鑑証明書と同じく発行から3ヶ月以内のものです。
底地の情報として売主が準備する必要がある書類は
- 登記済み権利書、または、登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
土地の権利証でもある登記済み権利書をなくすと、再発行はできません。
対応として「事前通知」や司法書士に依頼して「本人確認情報」を提出してもらうなどの方法がありますが時間もかかって面倒です。
底地の売却を考えたときには、まず権利証をちゃんと持っているか確認するようにしましょう。
借地人との土地賃貸借契約書については必須というわけではないので、手元になくても大丈夫です。
ただし、定期借地権など期限付きの借地契約を結んでいる場合には、契約書がないと定期借地権とは認められない場合もあるので注意してください。
5.まとめ
ここまでお伝えしてきたように、底地の売買契約書には、通常の土地とは異なる条項を含める必要があります。
買取による売却であれば契約書は依頼した不動産会社が持っているものを使うことになります。それでも、もらった契約書の内容に問題がないか気づくためにも、条項について事前に調べておくことは大切です。
また契約書を読んでわからないところがあったら、疑問がなくなるまで担当者に聞くようにしてください。
弊社では底地の買取を行っています。あなたに合った底地の処分方法や売却時に必要になる書類なども担当者が詳しくお伝えさせていただきます。
相談は無料で承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。