借地権の更新料っていくらかかるのだろう?
通常、借地権を契約する際には、存続期間(借地借家法では30年以上)が設定されています。
そして、その存続期間が満了すると、地主に更新料を支払って存続期間を延長するのが一般的です。
では、この借地権の更新料の計算方法・相場はいくらなのでしょうか?
更新料の計算方法・相場
借地権の更新料の計算方法ついては、法令で定められている訳ではありませんが、慣習として次のように計算されます。
更新料 = 借地権価格 × 5~10%
なお、上記の計算方法にある「借地権価格」は、土地の更地価格に借地権割合を掛けて算出することが可能。
- 借地権価格 = 更地価格 × 借地権割合
土地の「更地価格」は、路線価に土地面積を掛けて算出できます。
- 更地価格 = 路線価 × 土地面積
※上記の更地価格の計算方法は、簡易的なものとなります。厳密には、奥行価格補正率等も考慮して計算する必要があります。
具体例
では、具体的な数字を当てはめて計算してみましょう。
例として、土地面積150m2の借地権の更新料を算出してみます。
更地価格
まずは、更地価格を算出してみます。
この土地がある地域の「路線価」を国税庁ホームページで調べると、「190C」と表記されていました。
190Cの「190」とは、1m2あたりの更地価格を千円単位で示した数値です。
つまり、1m2あたり190千円 = 19万円となります。
今回、土地面積が150m2ですので、
- 更地価格 = 路線価 × 土地面積 = 150m2 × 19万円 = 2850万円
と計算できます。
借地権価格
続いて、借地権価格を算出してみます。
190Cの「C」とは、借地権割合を示しています。
このアルファベットは、A~Gまであり、それぞれ借地権割合が次のように決められています。
A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50、F:40%、G:30%
今回、借地権割合が「C」の70%ですので、
- 借地権価格 = 更地価格 × 借地権割合 = 2850万円 × 70% = 1995万円
と計算できます。
更新料
ゆえに、借地権の更新料は、
- 更新料 = 借地権価格 × 5~10% = 1995万円 × 5~10% = 99.75~199.5万円
と計算できます。
とある地域の土地面積150m2の借地権の更新料は99.75~199.5万円となります。
※上記は、あくまでも一例です。借地権の更新料は、借地権の売却方法、建物の構造、地主との関係、借地権割合、更地面積の算出など、個別の事情によって大きく変わります。
法的には支払う義務はない
借地権の更新料に関しては、法律で支払い義務あるわけではありません。
また、過去の判例では、慣習の存在も認められていません。
あくまでも、地主と借地人の合意に基づいて支払われるものとなっています。
ただ、多くの借地契約書には、「更新料を支払うこと」と明記されているので、その場合は支払い義務を負うことになります。
最後に
借地契約は、20年、30年と長期に渡って継続されるため、初回契約時に数十年先の”更新料”を具体的に決めることは難しい話です。
そのため、契約書に「その時の相場」や「甲乙協議の上、決定する」など、曖昧に記載されているケースも多く、更新料をめぐって、しばしばトラブルにもなっています。
弊社では、借地権の更新にまつわるトラブルを含め、借地権に関してお悩みの方のご相談をうけたまわっていますので、お気軽にご相談ください。