賃貸物件を探すとき、「駅から徒歩何分かかるか」を重視する方は多いと思います。
特に通勤・通学で電車を利用する方はなおさらですね。
でも、不動産屋の賃貸資料に記載されてる「駅から徒歩○分って、なんとなく信用できない」という方は多いのではないでしょうか?
実は、駅から徒歩○分の計算には、不動産会社共通の明確な算出基準が定められています。
目次
駅から徒歩○分の算出基準・計算方法
駅から徒歩○分(徒歩所要時間)の算出基準は、
徒歩1分=80m
です。
もっと詳しく言うと、道路距離(道路に沿って測定した距離)「80m」につき「徒歩1分」かかるものとして計算します。
この際、1分未満の端数は切り上げます。例えば、”2.1分”は”3分”として算出します。
このことは、
- 公正競争規約(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)
で定められています。
公正競争規約(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)
公正競争規約とは、不動産の広告表現に関して、業界団体(不動産公正取引協議会)が設定したルールです。
「徒歩○分の算出基準」については、公正競争規約第10条で定められています。
〔各種施設までの距離又は所要時間〕
(8)道路距離又は所要時間を表示するときは、起点及び着点を明示して表示すること(他の規定により当該表示を省略することができることとされている場合を除く。)。
(9)団地(一団の宅地又は建物をいう。以下同じ。)と駅その他の施設との間の距離又は所要時間は、それぞれの施設ごとにその施設から最も近い当該団地内の地点を起点又は着点として算出した数値を表示すること。ただし、当該団地を数区に区分して取引するときは、各区分ごとに距離又は所要時間を算出すること。
(10)徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。出典:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条「各種施設までの距離又は所要時間」
分速80m(時速4.8km)は、実際、健康な女性がハイヒールのサンダルを履いて歩いたときの平均分速80.3mが基準になっているようです。
計算方法の例
では、駅から徒歩○分の計算方法の例をいくつか見ていきましょう。
例1、駅から物件まで300mの場合
徒歩1分あたり80mだから、300(m)を80(m)で割るだけです。
300(m) ÷ 80(m) = 3.75(分)
1分未満は切り上げとなるため、駅から物件までは「徒歩4分」となります。
例2、駅から物件まで400m、途中、信号で1分間待つ場合
例1と同様の計算方法で
400(m) ÷ 80(m) = 5(分)
信号、踏切、坂道などは、考慮されないため、駅から物件までは「徒歩5分」となります。
例3、駅直結の物件の場合
駅からの距離が80m未満の場合は、1分として計算されるため、駅から物件までは「徒歩1分」となります。
※徒歩0分とはなりません。
例4、駅から物件の敷地まで徒歩6分、さらに部屋まで徒歩1分かかる場合
駅から物件まで徒歩○分は、「駅の最寄り出入口」から「物件の一番近い敷地部分」までの距離が基準となります。
そのため、駅から物件までは「徒歩6分」となります。
まとめ
不動産の物件資料に記載されている「駅から徒歩○分」は、
- 徒歩1分=80mで計算
- 1分未満の端数は切り上げ
- 信号・踏切・歩道橋・坂道は考慮されない
- 「駅の最寄り出入口」から「物件の一番近い敷地部分」までの距離
- 道路・鉄道を越えるために歩道橋、地下道、踏切などを経由する必要あるときは、そのために余分に歩く距離を含める
から算出されます。
そのため、「横断歩道での待ち時間」「坂道・階段の上り下りに要した時間」「エレベーターの待ち時間」などは、一切含まれません。
特に駅と物件の間に踏切があったり、坂道があったりする場合は、物件資料に記載されている徒歩所要時間と大きく変わることがあります。
“物件資料の記載内容”と”実際の歩いた所要時間”が3分違えば、往復で6分、30日で180分も変わってきます。
「駅から徒歩8分と書いていたのに、踏切のせいで毎朝15分もかかってしまう!」
なんてことにならないように、住みたい物件が見つかったら、是非、自分の足で歩いて確かめてみましょう。
引越し先の下見は、街の雰囲気も感じられるので、おすすめですよ。
Googleマップの”徒歩ルート検索”は、平地以外に信号、坂、エレベーター、歩道橋などが考慮されています。そのため、より実際に歩いた所要時間と近くなっています。
忙しくてなかなか時間がとれない方は、Googleマップを活用して、リアルに近い時間を確認しましょう。